今年もたくさんの作品が映画化されましたね。
読書はその本を読む楽しみもありますが、その作品が映画化される楽しみもありますよね。
今回は、2025年度に映画化された小説の中で、読んでよかったと思ったものを3選紹介したいと思います。
結城真一郎『#真相をお話しします』
家庭教師を斡旋するアルバイトをしている片桐。その日もある家庭に出向いていました。
しかし出迎えてくれたこの親子、どこかがおかしい、、
母親は手にはゴム手袋をはめていて、それを決して外そうとしなかったり、片桐が子どもと二人きりで体験授業をすることを頑なに拒んだり。
子どももどこか怯えている様子で、この親子は一体何を隠しているのか、、、
今ご紹介したあらすじは「惨者面談」というお話です。他には、娘のパパ活を心配しながらも自らマッチングアプリで出会った女の子と密会する男の話「ヤリモク」や、リモート飲み会中に友人が殺害予告をする「三角奸計」などが収録されています。
どの話もラストで驚きの真実が暴露されます。
1編40ページほどでサクッと読めるにも関わらず、非常に満足度の高い短編集です。
金原ひとみ『ミーツ・ザ・ワールド』
「このまま一人で仕事と趣味だけで生きていくなんて憂鬱です」
推し活に精を出す銀行員の由嘉里(ゆかり)は自分の将来に一抹の不安を抱いていました。
このまま仕事と趣味だけで生きていて良いのかと。
恋人を作ろうと婚活パーティーや合コンに参加しますが、上手くいきません。
そして人生2回目の合コンに敗れ、酔いつぶれているところを、美しいキャバ嬢、ライに助けられます。
希死念慮があるライと関わっていく中で、由嘉里の中で何かが少しずつ変わっていく、、というお話。
「今まではこうだと思っていたけど、実は違うかも」、自分の価値観が揺さぶられるような感覚を何度もこの本で味わいました。
ライ以外にも個性的なキャラクターが出てきて、友達だとか、恋人だとか、そんな枠組みにとらわれない人間関係がとても素敵です。
呉勝浩『爆弾』
野方署に連行されたひとりの男、スズキタゴサク。彼は酒屋の店主を殴った容疑で取り調べを受けていました。
冴えない中年の酔っ払いが起こしたよくある暴行事件、最初はそう思われていたのが、スズキの一言で事態は一変します。
「秋葉原のほうで、きっと何かありますよ」
その直後に起きた秋葉原での爆発。
さらにスズキは、「ここから三度、次は一時間後に爆発します」と予言。
東京中に仕掛けられた爆弾を警察は見つけることができるのか、とても緊迫感のある一冊です。
この物語は、スズキvs警察の交渉シーンが大変見所です。
冷静にスズキを分析する警視庁特殊犯係の清宮、優秀だが変わり者の類家。
この二人とスズキのやり取りから目が離せません。