あなたはどのようなホラーが一番怖いと感じるでしょうか。
未知の生物が襲撃してくるパニックホラー。
猟奇殺人鬼が出てくるサイコホラー。
そのほかSFホラーや和風ホラーなど、ホラーと一口に言っても色々とあります。
しかし結局のところ、自分に怪異がふりかかってくるかもしれないというホラーが一番怖いと思うのです。
フィクションを楽しんでいるつもりが、いつのまにか自分の近くまで怪異が忍び寄っている、そんな感覚を味わえる作品が。
今回紹介する三津田信三さんの『わざと忌み家を建てて棲む』という作品も、そういう怖さが味わえる作品です。
あらすじ
この本に登場する人物は主に2人。作家の三津田(みつだ)と編集者の三間坂(みまさか)。
三間坂の実家には蔵があり、そこには祖父が趣味で集めた古今東西の怪しげな蔵書が仕舞われています。
世に出ている心霊関係や怪奇小説はもちろんのこと、祖父自らが独自に集めた日記や手記など、一部のマニアが見れば大喜びするような「記録」も収められています。
三間坂はある出来事がきっかけで、蔵からとある「家」に関する資料を探すのですが、その「家」が何とも気味が悪いのです。
その「家」はただの幽霊屋敷ではありません。
曰くのある家屋を集めて、それを一つの「家」として立て直した家です。
家具から持ち物まですべて、前の所有者のもの。
そっくりそのまま移築してきたような感じです。
幽霊屋敷の集合体のようなその「家」で、何も起きないはずがありませんよね、、、
その「家」に住むことになった、あるいは調査することになった人たちの記録を、三津田と三間坂は読むことになるのですが、彼らの周りでも不可解なことが起き始めて、、、、といったお話です。
読み進めるうちに異変が起きるかも
この小説の最も怖いところ、それは、
「これってフィクションだよね、、?」
「ほんとにその家があるの、、?」
と思わされる要素が多分にあるということ。読んでいくうちに段々と不安になってくるのです。このまま読み進めて、本当に大丈夫なの、、?と。
もしかしたら読んでいる最中に、不審な電話や訪問者があるかもしれません。、、、ないとは言い切れない。
作中にでてくる手記や記録はとても恐ろしいですが、幕間の三津田と三間坂の考察はとても興味深くて、面白いです。
最後に………
この作品は三津田信三さんの『幽霊屋敷』シリーズ、二作目に当たります。
一作目の『どこの家にも怖いものはいる』を読んでなくても楽しめます。
ただ、一作目もとても怖いので、そちらもぜひお手にとってみてください。