今回は周木律さんの『幻屍症インビジブル』をご紹介します。
あらすじ
物語の舞台は、四方八方を海で囲まれた孤児院「四水園」。
この四水園では6歳から15歳までの男児が暮らしています。
ユタカもこの孤児院で暮らす園生のひとり。
ユタカは他の園生にはない特別な能力を持っています。
そのせいで卑屈になり、同級生から虐げられる毎日を送っています。
そんなある日。
いつものように同級生からひどい暴行を受けた直後、同級生のミツルに話しかけられ、あるお願いをされます。
それは園にまつわる4つの謎、”四忌”の秘密を一緒に解き明かしてほしい、というもの。
四忌。この噂に興味を持つ園生は少なくありません。
なんせ「四忌の真実を知った者は、願いが何でも叶う」と言われているのですから。
しかし一方で「真実に辿り着けない者は、死ぬ」とも。
もしかしたら学校にあるような、よくある怪談かもしれません。
しかし四忌をただの怪談話だと断言できない理由があります。
それは、この園ではたびたび死者が出るからです。
しかも死体はどれも四忌の真実に辿り着けなかった結果、死んでしまったのだと思わされるような、奇妙な死に方なのです。
こうして、ユタカは相棒のミツルと共に、四忌の謎に迫っていくのですが、果たして……という内容です。
何かがおかしい四水園
孤島にあるこの孤児院。園生が施設の外に出ることはまずありません。
孤島にあるのは施設と灯台のみ。島の周りは、高さが何十メートルもあるフェンスに囲まれています。
もし島からの脱出を試みようとすれば、そしてそれに失敗すれば、教師からの厳しい折檻が待っています。
折檻………暴行を受けることはありませんが、何時間も罵詈雑言を浴びせられたり、他の園生の前で辱められたりと、心身ともに衰弱します。時には廃人のようになってしまう園生もいます。
この園ではとにかく教師が怖い。
四忌を調べるために、ユタカたちは教師たちの目を盗んで、授業の合間や真夜中に色んな場所に忍び込むのですが、教師に見つかったら終わりです。
噂よりも、どちらかと言えば教師に見つかることの方が怖いのです。
読んでいるこちらも、息をのむほど。
地道な調査を続けて、少しずつ四忌の真実、そしてこの四水園の秘密に二人は迫っていきます。
最後に……
もしかしたら、読んでいくうちに、何か勘づくことがあるかもしれません。
しかしお願いですから、どうか読むのをやめないで。ぜひ最後まで見届けてください。
全ての謎は繋がっていて、それがユタカの特別な能力とも絡んでいて、非常に面白いです。
興味を持った方は、ぜひお手にとってみてください。
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